【Dr.STONE】ストーンワールドでソメイヨシノが滅亡している理由

日本人が最も馴染み深いサクラの種である「ソメイヨシノ」。

学校や住宅地、都心部にも多く植えられており、出会うサクラはほぼソメイヨシノと言っても過言ではありません。

ところが、Dr.STONEの第一巻で、こんなセリフが出てきました。

出典:Dr.STONE コミックス1巻より

これほど圧倒的に日本各地に存在しているソメイヨシノが”ソッコー滅亡”とは、一体どういうことなんでしょうか。

本記事では、 ストーンワールド(※)でソメイヨシノが絶滅している根拠を解説していきます。

(※ストーンワールドとは:Dr.STONEに出てくる用語。謎の石化光線によって人類が石化し、文明が滅んでから3700年経った原始の世界のこと。)

最初に結論

残念ながら千空の言う通り、確かにストーンワールドではソメイヨシノは絶滅していると推測されます。

なぜならソメイヨシノは人間の手が加わらなければ増えないからです。

ではなぜ人間の手が加わらなければ増えないのでしょう。

それは、今植えられているソメイヨシノは、全て一本の樹から生まれたクローンだから

そして、クローン同士では受粉できない(=子孫を残せない)からです。

詳しく見ていきます。

①ソメイヨシノは人の手によって生まれた

ソメイヨシノはそもそも、人為的に違う種のサクラ同士を掛け合わせて作られた「栽培品種」の一つです(「園芸品種」とも言います)。

江戸時代後期、現在の東京都豊島区にあった染井村という村の植木職人が、オオシマザクラとエドヒガンという2種のサクラを掛け合わせて作った一本の樹が始まりだとされています。

ジュンジュン
ジュンジュン

なるほど、今こうして何百万本も存在するソメイヨシノも、起源はたった”一本の樹”だったわけですね。

生み出されたソメイヨシノは、お花見を好む日本人にとって理想とも言えるような見事なサクラで、明治時代になって全国的に広まっていきました。

②ソメイヨシノは「接木」によって増えていった

それではソメイヨシノは、たった一本の樹からどうやってここまで増えたのでしょうか。

それは、人の手による「接木」という方法です。

接木とは、根の張った植物(台木)の上に別の植物の枝をつなぎ、人為的に一つの個体とする方法のこと。

昔から現在まで様々な場面で使われてきた、ごくごく一般的な増殖方法です。

注目すべきは、接木とは自分自身の遺伝子をそっくりそのまま別個体へ残していく方法である、という点にあります。

接木によって作られる個体は自分の”子ども”ではなく、同じ遺伝子を持った”自分自身”、いわばクローン体なのです。

ジュンジュン
ジュンジュン

つまり全てのソメイヨシノは、江戸時代後期の一本の樹から生まれたクローンなのですね。

③サクラは自分自身では受粉できない

さらにサクラは、自分自身の持つめしべとおしべとでは受粉ができないという「自家不和合性」と呼ばれる仕組みを持っています。

これは遺伝子の多様性を保つためだと考えられており、サクラ以外の植物でも多くみられます。

ソメイヨシノは先述したとおり、全てが一本の樹から生まれたクローン体=同じ遺伝子を持つ自分自身です。

そのため、何万本、何百万本生えていようが、ソメイヨシノとソメイヨシノからは、ソメイヨシノの種子は絶対にできません

ソメイヨシノの個体を増やしていくためには、人間が手を加えてやるしかないのです。

ジュンジュン
ジュンジュン

ということは、ソメイヨシノは”子孫を残せない”のでしょうか?

いいえ、ソメイヨシノはあくまでも自分自身では受粉ができないというだけであって、生殖機能そのものがないというわけではありません。

例えばソメイヨシノとオオシマザクラを掛け合わせれば種子はできると思われますが、それはもはや別の種のサクラの種子。”ソメイヨシノの種子”ではないのです。

終わり

千空のセリフに補足を入れるとこんな感じになるでしょうか。

「私たちにとって最も馴染み深いサクラであるソメイヨシノは、江戸時代後期に作られた栽培品種です。

主に接木という方法によって人為的に増やされ、全てのソメイヨシノが一本の樹を起源とするクローン体であることが分かっています。

さらにサクラ類は、自家受粉できない、つまり同じ遺伝子間では子孫を残すことができない自家不和合性という仕組みを持っています。

つまり、違う個体であっても同一の遺伝子を持つソメイヨシノ同士では、子孫を残すことができないのです。

以上のことから、人間がいなくなってしまってはソメイヨシノがひとりでに増えることはあり得ません。

ソメイヨシノの寿命は平均で60年ほどなので、Dr.STONEの世界のように人間がいなくなって3700年経った頃というと、とっくに全て絶滅してしまっているでしょう。」

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